雑貨という言葉の意味合いが変化し始めたのは、1966年に銀座ソニービルB2に
ソニープラザがオープンしたのが皮切りだったのではないでしょうか。このソニープラザはアメリカンスタイルのドラッグストアで、化粧品関連の小物の他、ノートやマグカップという日常の雑貨を販売する、日本初の輸入雑貨の専門店でした。
そこから雑貨の専門店が広がりはじめ、雑貨が単なる日常にある
モノの意味に加え、アメリカやイギリス、フランスなどの生活文化を取り入れた
スタイルをもその意味に加えて行ったのだと思われます。
その象徴のような店名の
文化屋雑貨店が渋谷ファイヤー通りにオープンしたのが1974年、そこから雑貨ブームが少しずつ加速し、そして1981年に渋谷パルコパート3に
Afternoon Tea、広尾に
F.O.B COOPというその後の雑貨業界の柱となる2店舗がオープンすると一気に雑貨ブームに火がついたのでした。
私がこの2店舗を知ったのはその1年後の高校三年生の時、都内にある美術の予備校に通いはじめた頃でした。衝撃でした。ただのコップやコーヒーカップが、なんでこんなにスタイリッシュなんだろうと!!横浜の高校での授業の後に目白にある予備校まで通う日々でしたが、何度も渋谷や広尾に行ってしまい予備校に間に合わないことがありました。
写真のグラスは
DURALEXの
ピカルディ。F.O.B COOPのオーナーの益永みつ枝さんがフランスから買い付けて初めて日本に紹介したものです。それまで見たこともない形のグラス、それもフランス製。憧れて憧れて、ついに1ダース購入しました。家族6人分×2個です。家のキッチンのグラスを全てピカルディにと今までのコップと総入れ替えして祖母に叱られました。
DURALEX社はフランスのサンゴバン社という国営ガラス工場が強化ガラスを製品化するに伴い設立した会社で、その製品のシリーズの一つがピカルディです。車のフロントガラス用に開発された強化ガラスで、割れにくく、また割れても破片が鋭利でなく角の丸い粒状に割れるので、その安全性から多くのレストランやカフェで使用されている業務用グラスです。
先に述べたAfternoon Teaを立ち上げたメンバーのお一人が、その何年かの後に私の上司となる訳ですが、私が雑貨にのめり込みその仕事をするきっかけとなったとも言えるピカルディ、思い出深い商品です。あれからずっと私のキッチンの定番。
ただこのピカルディ、近年には「突然爆発するように割れた」という事故も起こっているようです。これは全面物理強化ガラスという特質によるものだそうで、大きな怪我をするような事例はまだないようですが、少し心配になります。
日本市場からピカルディがなくなってしまったら・・・寂しですね。