vol.1 「うつわ」を食らう
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 この本を初めに手にしたのは10年以上も前のこと。タイトルがとても印象深く、まさに自分の考えている食事の原点だと感じて読み始めました。それ以来、いつでも手が届くデスクの一角に置かれていて、ときおり読み返しています。
 その原点とは、私が食器の仕事に惹かれた理由でもあること、食事の文化です。私は大学で工芸デザインを学びましたが、食器を作るという仕事を選んだ入り口はデザイン的なことからでも、陶芸を専攻したからということでもありませんでした。食卓というか食事をする空間がとにかく好きで、それに関わることを学んでいくうちに、背景に食文化さらには生活文化がある「器」に強く惹かれたから。
   
 この本は武蔵野美術大学在学中から民族学を学ばれた神崎宣武氏が書かれたもので、ここからは日本人のうつわに対するこだわりがいかに深いものかが読み取れます。
 「何を食べるか」でななく「どのうつわを使って、どう食べるか」それが食事というものではないかと。

 忙しい毎日、何も考えなくても手軽に空腹は満たされる環境の中で、餌を食らう顔にならないように。
『食事』をちゃんとしましょう、楽しくしましょう、そう思える一冊です。

「うつわ」を食らう
 -日本人の食事の文化-
 神崎宣武 著
 日本放送出版協会
| books | 13:29 | comments(1) | - | ↑TOP -
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